Q.

音楽CDを用いてMDに録音をするのは、音楽の複製に該当しますか。

 音楽の著作権  | 関連用語: 実演 著作物 複製 レコード

A.

CDに録音されている音楽をMDに録音する行為は、音楽の著作物の複製に該当します。

複製とは、印刷、複写、録音、録画などの方法により有形的に再製することをいいますので、CDからMDへの録音は、音楽の著作物の複製ということになります(第2条第1項第15号)。なお、音楽の著作物の複製に伴って、演奏・歌唱などの実演やレコード原盤(レコード)も複製されることになります。

用語の説明

実演
著作隣接権の保護の対象です。実演とは、「著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演じること」や、「著作物以外のものを演じる場合で芸能的な性質を有するもの」のことをいいます(第2条第1項第3号)。

著作物以外のものを演じる場合で芸術的な性質を有するものとは、具体的には、奇術、曲芸、手品、物真似などのことです。なお、体操の「床運動」や、「フィギュアスケート」の演技などは、「競技」として行われるもので、「芸能」ではないので、実演ではありませんが、同じような行為でもアクロバットショーやアイススケートショーのように、「観客向けのショー」として行われるものは実演になります。
著作物
「著作者の権利」によって「保護」される対象が著作物です。著作物は、著作権法では、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
と定義されています(第2条第1項第1号)。

具体的にどのようなものが著作物であるのかは、第10条に例示されています。

しかし、これらはあくまでも例示であって、著作物はこれだけに限りません。先に述べた定義にあてはまるもの、すなわち、以下の条件をすべて満たすものは、表に掲げられていないものであっても、著作物に該当することになります。定義の解釈は次のとおりです。

(a)「思想又は感情」を
(b)「創作的」に
(c)「表現したもの」であって、
(d)「文芸、学術、美術又は音楽の範囲」に属するもの

(a)の条件によって、「東京タワーの高さ:333メートル」といった「単なるデータ」など(人の思想や感情を伴わないもの)が著作物から除かれます。

(b)の条件によって、他人の作品の「模倣品」など(創作が加わっていないもの)が著作物から除かれます。また、「ありふれたもの」(誰が表現しても同じようなものになるもの)も創作性があるとはいえません。

(c)の条件によって、「アイディア」など(表現されていないもの)が著作物から除かれます(ただし、アイディアを解説した「文章」は表現されているため著作物になり得ます)。

(d)の条件によって、「工業製品」などが、著作物から除かれます。

(注) 「特許権」は「アイディア」を保護し、「著作権」は「表現」を保護しています。このため、例えば、ある「薬」の製法について特許権が付与されている場合、1) その製法に従って、その薬を「製造・販売」すること(アイディアの利用)は、特許権の侵害となり、2) その製法を書いた「論文をコピー」すること(表現の利用)は、「著作権」の侵害になります。
複製
印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することを言います(第2条第1項第15号)。また、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含みます。

[1]脚本その他これに類する演劇用の著作物・・・当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。
[2]建築の著作物・・・建築に関する図面に従って建築物を完成すること。
レコード
音(著作物に限られない)を最初に固定(録音)したもの(いわゆる「原盤」のこと)で、媒体は問わないので、CD、テープ、パソコンのハードディスクなどに録音された場合でも、レコードとなります(第2条第1項第5号)。なお、市販を目的としたレコード(原盤)の複製物(市販されている音楽CDなど)のことを「商業用レコード」と言います(第2条第1項第7号)。