Q.

公園に設置されている彫刻は、屋外の場所に恒常的に置いてある美術の著作物として、大幅な自由利用が認められていると考えていいのですか。

 芸術作品の著作権  | 関連用語: 公開の美術の著作物等の利用 公衆送信権 複製権

A.

販売を目的として複製すること、屋外の場所に恒常的に設置するために複製することなど著作権法で定める限られた場合を除き、複製、公衆送信などの利用方法を問わず、著作権者の了解なしに、彫刻を利用することができます(第46条)。例えば、当該彫刻を写真に撮って無料頒布のカレンダーに入れることや、ドラマの撮影の背景にすることなども自由に行うことができます。

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用語の説明

公開の美術の著作物等の利用
著作権の制限規定の一つです(第46条)。一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置されている「美術品」や「建築の著作物」を利用する場合の例外で、以下の場合を除き、自由に利用できることとされています。

【条件】
次のいずれにも該当しないこと
ア 「彫刻」を増製するような場合
イ 全く同じ「建築の著作物」を建設する場合
ウ 一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合
エ 「美術品」について複製の販売を目的とする場合
オ 慣行があるときは「出所の明示」が必要(第48条)
公衆送信権
公衆送信権は、著作物を公衆向けに「送信」することに関する権利(第23条)であり、公衆向けであれば、無線・有線を問わず、あらゆる送信形態が対象となります。具体的には、次のような場合が含まれます。

(a) テレビ、ラジオなどの「放送」や「有線放送」
(著作物が、常に受信者の手元まで送信されているような送信形態)
(b) インターネットなどを通じた「自動公衆送信」
(受信者がアクセスした(選択した)著作物だけが、手元に送信されるような送信形態。受信者が選択した著作物を送信する装置(自動公衆送信装置=サーバーなど)の内部に著作物が蓄積される「ホームページ」のような場合と、蓄積されない「ウェブキャスト」などの場合がある)
(c) 電話などでの申込みを受けてその都度手動で送信すること
(ファックスやメールを用いるもの。サーバー等の機器によってこれを自動化したものが (b)の場合。)

上記(b)の場合、この権利は、サーバー等の「自動公衆送信装置」からの「送信」だけでなく、その前段階の行為である、「自動公衆送信装置」への「蓄積」(いわゆるアップロード)や「入力」(ウェブキャストなど蓄積を伴わない場合)などにも及びます。こうした行為により、蓄積・入力された著作物は、「受信者からのアクセス(選択)があり次第『送信』され得る」という状態に置かれるため、これらの行為は「送信可能化」と総称されています。

つまり、無断で「送信可能化」すると、まだ、受信者への送信が行われていなくても、権利侵害となるわけです。

なお、この公衆送信権は、学校内などの「同一の構内」においてのみ行われる「送信」は、プログラム以外は対象とはなりません。ただし、校内LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)を使う場合は、サーバー等に「コピー」ができますので、コピーすることについて著作権者の了解を得ることが必要となります。
複製権
手書き、印刷、写真撮影、複写、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積など、どのような方法であれ、著作物を「形のある物に再製する」(コピーする) ことに関する権利で、すべての著作物を対象とする最も基本的な権利です。「生」のものを録音・録画・筆記するようなことも含まれます(第21条)。

なお、脚本等の演劇用の著作物の場合は、それが上演・放送されたものを録音・録画することも、複製に当たります。

また、建築の著作物に関しては、その「図面」に従って建築物を作ることも、複製に当たります (建築に関する図面自体は、「図形の著作物」として保護されます)。