Q.

会社の社員が複数でレポートを作成した場合、著作権は誰にあるのですか。

 文章の著作権  | 関連用語: 共同著作物 職務著作・法人著作 法人著作

A.

様々なケースが考えられます。まず、レポートが、[1]会社の発意に基づき、[2]従業員が[3]職務上作成し、[4]会社名義で公表されるものであれば、[5]就業規則等に従業員を著作者とする定めがない限り、会社が著作者になり、著作権も会社が持つことになります(第15条。法人著作あるいは職務著作と呼ばれています。)。しかし、上記5つの要件のいずれかを満たさない場合は社員が著作者になります。この場合、作成されたレポートが、各社員が作成した部分を分離して利用できるようであれば、それぞれの部分を書いた社員がそれぞれの書いた部分の著作者となりますが、各社員の寄与を分離して利用できないような場合は、複数の社員の共同著作物となり、著作権は複数の社員の共有になると考えられます。なお、社員が著作者となる場合であっても、就業規則等において、著作権を会社に譲渡するとの取り決めがある場合は、それにしたがって会社に著作権が譲渡されることになります。

用語の説明

共同著作物
二人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与分を分離して個別に利用できないものを「共同著作物」と呼びます(第2条第1項第12号)。具体的には、誰がどこを分担すると決めずに共同で書いた場合など、それぞれの人が書いた(創作した)部分を明確に区別できない場合のことです。ただし、第1章は誰、第2章は誰と分担するところを定めて書いた場合はこれに当てはまりません。

共同著作物の場合は、原則として、全員の合意によりその権利を行使することとされています(第65条第2項)。なお、この場合、当該著作権を代表して行使する者を定めることができます。また、著作権の保護期間は、最後に死亡した著作者の死亡時から起算されます(第51条第2項)。
職務著作・法人著作
著作者になり得るのは、通常、実際の創作活動を行う自然人たる個人ですが、創作活動を行う個人以外が著作者となる場合が著作権法により定められています(第15条)。例えば、新聞記者によって書かれた新聞記事や、公務員によって作成された各種の報告書などのように、会社や国の職員などによって著作物が創作された場合などは、その職員が著作者となるのではなく、会社や国が著作者となる場合があります。

しかし、会社や国の職員などが創作した著作物のすべてについて、会社や国などが著作者になるわけではありません。

次に掲げる要件をすべて満たす場合に限り、会社や国などが著作者になります。(なお、プログラムの著作物については、公表されない場合も多いため、(d)の要件を満たす必要はありません。)

法人著作の要件
(a) その著作物をつくる「企画」を立てるのが法人その他の「使用者」(例えば、国や会社など。 以下「法人等」という) であること
(b) 法人等の「業務に従事する者」が創作すること
(c)「職務上」の行為として創作されること
(d)「公表」する場合に「法人等の著作名義」で公表されるものであること
(e)「契約や就業規則」に「職員を著作者とする」という定めがないこと
法人著作
著作者になり得るのは、通常、実際の創作活動を行う自然人たる個人ですが、創作活動を行う個人以外が著作者となる場合が法律により定められています。例えば、新聞記者によって書かれた新聞記事や、公務員によって作成された各種の報告書などのように、会社や国の職員などによって著作物が創作された場合などは、その職員が著作者となるのではなく、会社や国が著作者となる場合があります(第15条)。

しかし、会社や国の職員などが創作した著作物のすべてについて、会社や国などが著作者になるわけではありません。

次に掲げる要件をすべて満たす場合に限り、会社や国などが著作者になります。(なお、プログラムの著作物については、公表されない場合も多いため、(d)の要件を満たす必要はありません。)

法人著作の要件
(a) その著作物をつくる「企画」を立てるのが法人 その他の「使用者」(例えば、国や会社など。 以下「法人等」という) であること
(b) 法人等の「業務に従事する者」が創作すること
(c)「職務上」の行為として創作されること
(d)「公表」する場合に「法人等の名義」で公表されるものであること
(e)「契約や就業規則」に「職員を著作者とする」という定めがないこと