一般的には絵を描いた人です。写真は、例えば証明書用の人物写真のような創作性があるとは考えられないものでない限り、著作物と考えられますが、その写真をもとに絵を描く場合は、一般に写真の著作物の翻案に該当し、出来上がった絵は、写真の二次的著作物(美術の著作物)であると考えられます。二次的著作物も著作物ですので、できた絵の著作権は、それを描いた人に発生しますが、例えばその絵を複製して利用する場合は、写真を撮った人(写真の著作権者)と絵を描いた人(絵の著作権者)の両方の権利が働くことになります。
なお、絵を描くことが単なる個人的な練習ということであれば私的使用にともなう翻案として写真の著作権者の了解は必要ありませんが、例えば公開を予定している絵ということであれば、翻案について写真の著作権者としての了解が必要です。
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用語の説明
- 写真の著作物
- 著作権法上、写真の著作物は、写真の製作方法に類似する方法を用いて表現される著作物を含む(第2条第4項)」と規定されており、一般概念の写真より広い概念です。具体的には、従来のネガ・ポジ方式の写真やデジタル方式の写真のみならず、写真染め、グラビアなども写真の概念に含まれます。なお、絵画を忠実に撮影した写真や、駅の構内などに設置された自動撮影機によるスピード写真のようなものは、一般に創作性がなく写真の著作物ではないと考えられていますが、この創作性は高度なものである必要はないので、素人のスナップ写真も写真の著作物と考えられます。
- 二次的著作物
- ある外国の小説を日本語に「翻訳」した場合のように、一つの著作物を「原作」とし、新たな創作性を加えて創られたものは、原作となった著作物とは別の著作物として保護されます(「翻訳」などをした人が著作者)。このような著作物は、「二次的著作物」と呼ばれています。小説を「映画化」したもの、既存の楽曲を「編曲」したものなども、このような二次的著作物です(第2条第1項第11号、第11条)。この権利を、一般に二次的著作物の創作権(第27条)と呼んでいますが、具体的には翻訳権、編曲権、変形権(例えば平面的な著作物を立体的な著作物にする)、翻案権(脚色、映画化等)からなります。
なお、この二次的著作物を利用する場合は、二次的著作物の創作者である翻訳者、編曲者等の了解を得る必要があることはいうまでもありませんが、原作の著作者についても了解が必要で、一般にこれを二次的著作物の利用権(第28条)と呼んでいます。 - 二次的著作物の利用権
- ある著作物(原著作物)を、翻訳したり、編曲したり、映画化したり、表現形式を変更したりする等して創作された著作物を二次的著作物と呼びます(第2条第1項第11号)。
二次的著作物については、これを創作した者が有する権利(著作権)と同一の権利を、原著作物の著作権者も有することになり、これを一般に二次的著作物の利用権と呼んでいます(第28条)。具体的には、日本語で書かれた小説を英語に翻訳し、それを出版する場合は、翻訳者の了解だけでなく、原作者の了解も必要であるということです。 - 美術の著作物
- 絵画、版画、彫刻、書、漫画、劇画などを総じて美術の著作物といい、著作権法では、著作物の例示の一つに挙げられています(第10条第1項)。なお、著作権法では、美術の著作物は、美術工芸品を含むものとすると定義しています(第2条第2項)。これは、美的作品は、絵画、彫刻等の鑑賞用の作品(純粋美術)と、染色図案や工業デザイン等の実用品又はそのひな形(応用美術)に分けられることから、著作権法では、応用美術のうち美術工芸品(壺、茶碗、お皿、刀剣など)が保護の対象になることを明らかにしたもので、応用美術については、必ずしも著作権法による保護の範囲は明確ではありません。しかし、判例では、例えば大量生産されたおみやげ品やTシャツのデザインなど、著作権保護を肯定した事例などもあり、美術工芸品に限らず、鑑賞的色彩の強いものであれば美術の著作物に該当するとする例が多くなっております。
- 翻案権
- 二次的著作物の創作権(第27条)の一つです。著作物に創作性を加えて別の著作物を作成する権利のことをいい、原作を脚本にしたり(脚色化)、映画にしたり(映画化)、文書を要約したりする場合に働く権利です。